CODE
CODE
解説記事

「速報・詳解 会社法改正動向」第7回会議 速報 野村直弘/瀧拓也

2025/11/18野村直弘(弁護士)瀧拓也(弁護士) アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(https://www.amt-law.com/)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 野 村 直 弘

弁護士 瀧   拓 也

 

1 第7回会議の開催

 2025年10月29日、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の第7回会議が開催された。法務省のウェブサイトには、その議題等、議事概要および資料が掲載されている[1]

 第7回会議の議題は、「株主総会の在り方に関する規律の見直しに関する論点の検討(二読)(1)」である。具体的には、①バーチャル株主総会およびバーチャル社債権者集会、②実質株主確認制度、③株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項が、いわゆる「二読」として審議された。これらの検討事項は、すでに第3回会議(および第4回会議の冒頭)でいわゆる「一読」として審議されたが、その議論の結果を踏まえ、第7回会議で更なる検討が行われた。

 本稿では、上記ウェブサイトに掲載された「部会資料7」について、主に第3回会議の「部会資料3」との違いに着目して解説する。

 

2 バーチャル株主総会およびバーチャル社債権者集会

 バーチャル株主総会については、①実施要件、②実施する際の手続等、③株主総会決議取消しの訴えの特則、④株主総会の延期または続行、⑤その他の規律(場所の定めのある株主総会の開催請求権)、⑥適用対象となる株式会社の範囲および株主総会の類型が検討事項とされ、⑦バーチャル社債権者集会についても、類似する論点が議論されていた(詳細は、第3回会議の速報・詳解を参照[2])。

 「部会資料7」では、第3回会議の議論を踏まえ、各検討事項についてより具体的な提案がなされている。以下では、「部会資料3」からの主な変更点を紹介する。

 

⑴ 実施要件

 バーチャルオンリー株主総会の実施要件の1つとして、「部会資料3」では、株主と株式会社との間の「株主総会の議事における情報」の提供に係る即時性・双方向性の確保が検討事項とされた。「部会資料7」では、この具体的な内容として、①「株主総会の議事における情報」の範囲(他の株主の挙動を把握できる情報を含めるか否か)、②即時性の範囲(軽微な、または一定のタイムラグを許容するか否か)、③双方向性の範囲(株主間の双方向性の確保は不要としてよいか否か)が論点として提起された。

 また、通信障害対策措置[3]に関して、「部会資料3」では、これを実施要件とする規律が提案されていた。この案に加え、「部会資料7」では、これを実施要件ではなく、株主総会の決議の取消しの訴えの特則の適用要件とする案も示された。

 

⑵ 実施する際の手続等

 バーチャルオンリー株主総会を実施する際の手続等の1つとして、「部会資料3」では、株式会社に株主総会の議事における通信記録等の保存を義務付ける規律が検討事項とされた。これに関連して、「部会資料7」では、株主による通信記録等の閲覧等の規律(株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、請求の理由を明らかにして、通信記録等の閲覧・謄写を請求でき、株式会社は、一定の場合を除き、これを拒めない旨の規律)を設けることの是非が検討事項として明確に提案された。

 

⑶ バーチャル社債権者集会

 バーチャル社債権者集会に関連して、「部会資料7」では、振替社債の社債権者が社債権者集会で議決権を行使するには書面による証明書の提示が必要とされていること(社債、株式等の振替に関する法律(以下「振替法」という。)86条)について、電磁的記録による証明書の提示も可能とする等の見直しをすることの是非が検討事項として明確に提案された。

 

3 実質株主確認制度

 実質株主確認制度については、制度の趣旨および制度の基本的な枠組み(特に、実効性を確保するための規律)が主な検討事項とされていた(詳細は、第3回会議と第4回会議の各速報・詳解を参照[4])。

 「部会資料7」では、第3回会議と第4回会議の議論を踏まえ、①株式会社と株主との間の建設的な対話の促進という制度趣旨に基づき、株式会社から実質株主を確認する制度(以下「制度①」という。)と、②支配に関する重要な情報の把握および開示という制度趣旨に基づき、一定割合以上の議決権の行使の指図権を有する実質株主側から株式会社に対する通知を義務付ける制度(以下「制度②」という。)を併せて創設する方向で検討することが提案され、これらの制度として、表1記載の規律を設けることの是非が検討事項とされた。

 

(表1)「部会資料7」で提案された制度①と制度②の概要

制度①の概要

(ア) 上場会社は、仲介機関である名義株主に対し、当該名義株主が有する当該上場会社の株式についての直近仲介機関または指図権者に係る情報の提供を請求できる。

(イ) (ア)の請求またはこの(イ)の通知を受けた仲介機関は、当該請求に係る株式について直近仲介機関がある場合には、一定期間内に、当該直近仲介機関に対し、当該請求または通知を受けた旨を通知する。

(ウ) (ア)の請求または(イ)の通知を受けた仲介機関は、当該仲介機関が請求または通知を受けてから一定期間内に、当該請求をした上場会社に対し、次の(i)から(iii)までに掲げる場合の区分に応じて情報を提供する。

(i)   当該仲介機関が有するまたは株式仲介業務の提供を受ける当該上場会社の株式(確認対象株式)について直近仲介機関がある場合

 →直近仲介機関ごとに、その氏名・名称、会社法人等番号、住所、電子メールアドレスおよび当該直近仲介機関に提供している株式仲介業務に係る確認対象株式の数

(ii)  確認対象株式について当該仲介機関に対する指図権者がある場合

 →指図権者ごとに、その氏名・名称、会社法人等番号、住所、電子メールアドレスおよび当該指図権者が議決権の行使について指図を行うことができる権限を有する確認対象株式の数

(iii) 確認対象株式に(i)または(ii)のいずれにも該当しないものがある場合

 →その株式の数

(エ) 次に掲げる者は、過料に処する。

(a) 故意・重過失により(イ)の通知をせず、または虚偽の通知をした者

(b) 故意・重過失により(ウ)の情報の提供をせず、または虚偽の情報を提供した者

制度②の概要
金融商品取引法の規定に違反して大量保有報告書または変更報告書を提出しない違反者がある場合において、その違反に係る株式を発行する上場会社が違反者に対して議決権を有しない旨の通知をした時から一定期間を経過したときは、違反者が保有する当該上場会社の株式(当該通知後に違反者が保有するに至ったものを含む。)は、違反者が保有する間、議決権を有しない。ただし、その違反に係る大量保有報告書または変更報告書が追完された日から一定期間が経過した後は、この限りでない。

 

4 株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項

 株主総会のデジタル化に関しては、①書面交付請求制度、②書面による議決権の行使、③株主総会の招集の電磁的方法による通知についての見直しが検討事項とされていた(詳細は、第3回会議と第4回会議の各速報・詳解を参照[5])。

 「部会資料7」では、第3回会議と第4回会議の議論を踏まえ、上記①と②については、現行法の規律の見直しをする案としない案が改めて示された。また、上記③については、表2記載の規律を設けることの是非が検討事項とされた。

 

(表2)「部会資料7」で提案された株主総会の招集の電磁的方法による通知に関する規律の概要

  • 上場会社は、株主の承諾を得て、株主名簿に株主の電子メールアドレス等を記載・記録できる。
  • 総株主通知の通知事項(振替法151条1項)に、「電子メールアドレス等(当該株主が当該電子メールアドレス等の提供を承諾した場合に限る。)」を加える。
  • 株主名簿に電子メールアドレス等の記載・記録がある株主に対して電磁的方法により株主総会の招集通知を発する場合(会社法299条3項)には、当該株主の承諾を要しない。

 

5 次回以降の会議の見通し

 第8回会議は2025年11月19日に開催される予定である。

以 上

 


[1] https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00309.html(2025年11月17日最終閲覧)

[2] 第3回会議 速報:https://code.shojihomu.jp/document/0198c6228e8b713f3e2f8685

   第3回会議 詳解:https://code.shojihomu.jp/document/019a077aa257a0bc64133811

[3] 「部会資料7」では、「通信障害対策が講じられた通信の方法を使用することをいい、通信障害が生じた場合に代替する通信の方法を用意することを含む。」と定義されている。

[4] 第3回会議の速報・詳解については前掲注[2]を参照。

   第4回会議 速報:https://code.shojihomu.jp/document/019a077aac9e4950788a2821

   第4回会議 詳解:https://code.shojihomu.jp/document/019a9fa7a759cc6115e2ecea

[5] 前掲注[4]を参照。

 

執筆者

  • 野村直弘の画像

    弁護士

    野村直弘

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2013年東京大学法学部卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主に、コーポレート、M&Aを中心として、人事・労務、紛争解決、サステナビリティ法務に関する業務を広く取り扱う。
  • 瀧拓也の画像

    弁護士

    瀧拓也

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2021年東京大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院中退。2023年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

  • https://www.amt-law.com/

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

    <事務所概要>
    アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。

    <連絡先>
    〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

     

    * 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用