東京大学、AI法務リーダーシップ・プログラムを開催 UC Law San Francisco-LexLabと連携――日米連携でAIガバナンスの担い手を育成 社会人向けプログラム 編集部
東京大学大学院法学政治学研究科は8月21日、米UC Law San Francisco-LexLabと共同で、社会人向けの講座「AI 法務リーダーシップ・プログラム」を開いた。
8月31日までの計5日間、受講生は国内外の専門家から最新のAI規制やガバナンスの実務を体系的に学ぶ。
急変する技術やグローバルな規制動向を踏まえ、自らルールを設計できる実務リーダーの育成を目指す。英語と日本語による講義と、体験型のワークショップを展開する。
初の社会人プログラム、多様な39組が参加
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冒頭、挨拶に立った東京大学の宍戸常寿教授は、生成AIやAIエージェントが社会や法規制を揺るがす現状を指摘。人間社会の価値を守りながら、新たな価値を創出する「ルール設計の担い手」が不可欠であると訴えた。
今回のプログラムは同研究科初となる社会人向けリカレント教育プログラムだ。 IT企業や総合商社、メーカーの法務担当をはじめ、弁護士、さらには立法支援機関や政府系機関などの公的セクターの実務家39組が参加している。
宍戸教授は挨拶の中で、受講生同士の協働やアクションプランの策定を通じて、各実務の現場におけるルール設計に携わるよう呼びかけた。 |
英文契約レビューでAI活用のディティールを体験
初日の8月21日は、参加者は3~4人1組のグループに分かれ、AIを用いた英文契約レビューのワークショップを行った。
背景情報なしの初期レビュー後、経営会議議事録等の社内コンテクストをAIに追加し、出力の変化を比較した。参加者は前提条件の付与で精度が変わる「コンテクストエンジニアリング」の重要性を体感。背景情報などの前提条件やAIツールによる回答精度の差を議論した。
ディスカッションでは、実務の現場における具体的な対応策や工夫について意見が交わされた。自動化バイアス対策として、一次情報を用いたファクトチェックの徹底や、自らの案を批判検証させるためにAIをカスタマイズ(ClaudeのskillsやGeminiのGem等)するといった実践例が紹介された。
一方、アルゴリズム嫌悪に対しては、一度の誤答で利用をやめてしまう同僚に対し、プロンプトを調整してAIを導くスキルをどう教育するかが課題だとの声が上がった。
経営戦略の核は人間が判断すべきだとする指摘に象徴されるように、実務における人間の法務担当者の役割を改めて見つめ直す初日となった。
UC Law SF LexLabによる講義と知見提供
8月26日から8月28日の3日間は、今回のプログラムで東京大学と連携しているUC Law SF LexLabによる講義を中心に展開する。同ラボの Tal Niv 氏や Drew Amerson 氏らが、米国のAI政策や取締役会におけるガバナンス、法律倫理をテーマに講義を主導する。
セッションにはゲストスピーカーとして、NVIDIAやAnthropicなどグローバル企業の実務責任者も登壇する。オンラインなどを通じて、安全性の担保に不可欠な脆弱性検証「レッドチーム」の手法や、社内ガバナンスの具体的な実務知見を共有する。
「アクションプラン」の策定
最終日の8月31日には、これまでの学びを自らの実務に落とし込むための総括セッションが行われる。東大教授陣なども交えて、日本法との対比や横断的な議論を展開する。
受講生は初日から協働を続けるグループごとに、自組織でAIガバナンス体制を運用するための具体的な計画を策定する。練り上げられたロードマップを発表し合い、講師陣や受講生同士でフィードバックを行う予定となっている。

