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「速報・詳解 会社法改正動向」第14回会議 速報 坂本佳隆/山田智希/大塚ゆきの

2026/06/17坂本佳隆弁護士山田智希弁護士大塚ゆきの弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業https://www.amt-law.com/

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 坂 本 佳 隆

弁護士 山 田 智 希

弁護士 大 塚 ゆきの

 

1 第14回会議の開催

 2026年5月27日、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会(以下「本部会」という。)の第14回会議が開催され、同月28日、法務省内の本部会のウェブサイトにおいて、同会議に関する議題、議事概要および参考人提供資料等が掲載された[1]

 第14回会議の議題は、「参考人からの意見聴取」である。第12回会議において「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」(以下「中間試案」という。)[2]が取りまとめられ、2026年4月2日から同年5月22日まで意見募集手続(いわゆるパブリック・コメント手続)[3]に付されていることを踏まえると、第13回会議[4]に引き続き、第14回会議は、中間試案に対する実務関係者(具体的な顔ぶれは表1のとおり)からの意見を聴取し、今後の要綱案の取りまとめに向けた審議の参考とする位置付けにあるものとみられる[5]

 

(表1)参考人の顔ぶれ

氏名

肩書

提供資料名

大津 大  氏

日本証券業協会(大和証券 デット・キャピタルマーケット第三部 シンジケート課長 担当部長)

  • 社債権者集会等について(日本証券業協会)

渡邉 展行 氏

みずほ銀行 資本市場部 調査開発チーム 次長

  • 社債権者集会に関する会社法改正について(みずほ銀行)

森田 克俊 氏

みずほ銀行 資本市場部 調査開発チーム 部長代理

清田 次郎 氏

みずほ銀行 全銀協会長行室 室長

  • 実質株主確認制度整備に向けた実務者検討会 中間報告書(2025年度)(事務局:一般社団法人全国銀行協会)

日置 貴史 氏

みずほ銀行 決済営業部 部長

塚田 則彦 氏

ステート・ストリート信託銀行株式会社 取締役 コンプライアンス部長

  • 「中間試案」に対する主なコメント(国際銀行協会)
  • 欧州第2次株主権利指令(Shareholder Rights Directive II)(国際銀行協会)

鳥海 厳  氏

一般社団法人国際銀行協会 事務局次長

 

2 参考人提供資料および関連論点

⑴ 大津参考人提供資料の関連論点

 中間試案においては、いわゆるバーチャルオンリー型の株主総会に関する規律について議論されると同時に、社債権者集会についても、その機動的な開催を可能とする観点から、ハイブリッド出席型バーチャル社債権者集会、すなわち、物理的な場所を定めて社債権者集会を開催するとともに、社債権者集会の場所にいない社債権者もインターネット等の通信方法を用いて社債権者集会に出席することができる社債権者集会(以下「バーチャル社債権者集会」という。)の導入およびその規律内容が検討されている。

 大津参考人の提供資料は、バーチャル社債権者集会の導入に賛成する立場から、①バーチャル社債権者集会の手続等、②社債、株式等の振替に関する法律86条に規定する書面制度、③社債権者集会の決議があったものとみなす制度に関して、意見を整理している。第14回会議では、社債権者集会の在り方に関する規律の見直しを進めるに当たり、社債権者集会制度を証券実務の観点からどのように用いやすくするかが、大津参考人からの中心的な意見聴取事項となったものと予想される。

ア バーチャル社債権者集会の手続等

 中間試案では、社債の募集要項(会社法676条各号)に、バーチャル社債権者集会を行うことができる旨の定めがある場合に限って、バーチャル社債権者集会の実施を可能とする可能性も示唆されていた。この点について、大津参考人の提供資料は、バーチャル社債権者集会をあらかじめ排除しておきたいニーズが想定されにくいことから、募集要項に定めがない場合であっても、バーチャル社債権者集会の実施を可能とすべきことを指摘している。

イ 社債、株式等の振替に関する法律86条に規定する書面制度

 中間試案では、振替社債の社債権者が社債権者集会において議決権を行使する時に必要となる証明書(以下「86条証明書」という。)を、電磁的記録による証明書でも可能とすること、86条証明書のオリジナルデータを特定する技術的要件を設けることについて検討されている。

 大津参考人の提供資料は、86条証明書を電磁的記録による証明書でも可能とすることに賛成するのみならず、社債権者集会の決議が必要な事項以外にも、社債の発行体が社債権者の意思を確認したい場面が存在することから、同条に規定する証明書すべてを電子化することを要請している。

 また、86条証明書のオリジナルデータを特定する技術的要件は、無権利者による権利行使防止のための措置と考えられるが、86条証明書の交付および返還に関する情報が社債の発行体に都度報告され、社債権者集会開催当日に、発行体が社債権者の本人確認を行って事前の報告内容と突合する等の実務上の対応を取ることによっても、無権利者による権利行使は防止できると考えられると指摘している。当該提供資料は、86条証明書のオリジナルデータを特定する技術的要件を設けることで、書面の証明書と比べて、過度に厳格な措置となって、電子化の障壁となることを問題視している。中間試案においては、かかる技術的要件を求めない場合に、発行体が振替機関または口座管理機関に対して、振替社債の権利者に関する情報の提供を求めることができるとするかについても検討されているところ、大津参考人の提供資料は、これには発行体による社債権者の把握という非常に重要な問題を含むため、関係者のコスト・メリット、特に利用者として想定される発行体においてどこまでのコスト負担が可能であるのかや、市場での流動性(投資行動)に与える影響等を丁寧に確認の上、慎重に検討すべきであると指摘している。

ウ 社債権者集会の決議があったものとみなす制度

 現行法上、書面決議の成立には議決権者全員の同意が必要とされている(会社法735条の2第1項)。中間試案では、全員同意型書面決議の要件を緩和して、社債権者集会を開催しなくとも多数決によって社債権者集会の決議があったものとみなす制度、すなわち多数決型書面決議の導入が検討されている。具体的には、現に議決権を行使した議決権者の議決権の総額を分母とする多数決によるとする案(以下「A案」という。)と、全議決権者の議決権の総額を分母とする多数決によるとする案(以下「B案」という。)が検討されている。

 大津参考人の提供資料は、社債権者集会の開催は緊急性が高い場面で行われることが多く、事前に書面によって議決権を行使している社債権者も多いこと、個々の社債権者の利益と全体の利益が一致しやすいことから、社債権者集会が多数決による書面決議の制度になじむとして、多数決型書面決議の導入に賛成の立場を取っている。その具体的な内容については、制度の複雑化を避ける観点から、A案よりも迅速な意思決定を可能とするB案がふさわしい場合を法定し、それ以外の場合にはA案を採用することが考えられるとしている。

 

⑵ 渡邉参考人および森田参考人提供資料の関連論点

 渡邉参考人および森田参考人の提供資料も、バーチャル社債権者集会の導入に賛成する立場から、①バーチャル社債権者集会の手続等、②社債、株式等の振替に関する法律86条に規定する書面制度、③社債権者集会の決議があったものとみなす制度に関して、意見を整理している。大津参考人と同様、社債権者集会の在り方に関する規律の見直しを進めるに当たり、社債権者集会制度の具体的な規律内容の在り方について実務の観点から幅広い意見聴取がなされたものと推測される。

ア バーチャル社債権者集会の手続等

 社債の募集要項に、バーチャル社債権者集会を行うことができる旨の定めがある場合に限って、バーチャル社債権者集会の実施を可能とすべきかとの点については、以下の3点を理由に反対の意見を示している。

① 仮に募集要項への記載を必須とすると、すでに発行されている社債にはその定めがないため、募集要項変更のためにまず(バーチャルではない)リアルの社債権者集会を開かなければならず、制度導入の趣旨が損なわれる。

② すでに発行されている社債はリアルの社債権者集会、新しく発行される社債はバーチャル社債権者集会を開催するという二重の事務フローが並立すれば、継続的に社債を発行している会社の実務がきわめて煩雑になると考えられる。

③ 社債権者集会は、会社の常設機関ではなく、社債権者の臨時的合議体にすぎず、対面開催を強く要請するガバナンス上の必要性は相対的に小さい。

 また、中間試案においては、議長が社債権者集会の延期・続行を決定した時の社債権者への通知に関する規律を別途設けるかについても検討されている。この点について、渡邉参考人および森田参考人の提供資料は、通知方法を法令で固定すると、むしろ迅速な対応が妨げられる懸念があるとして、特別な法的規律は不要とする立場を取っている。「知れている社債権者」への招集通知や参考書類の交付についても、バーチャル社債権者集会開催の手続全体をデジタルで完結させることが発行体・投資家双方の利便性にかなうため、現行法上、電磁的方法により招集通知等を実施する場合に必要としている事前の社債権者からの承諾(会社法720条2項等)を不要とすべきとしている。

イ 社債、株式等の振替に関する法律86条に規定する書面制度

 バーチャル社債権者集会開催の利便性および機動性確保のため、86条証明書の提示を可能とすることに賛成の立場を取っている。

 オリジナルデータを特定する技術的要件については、現在はそれぞれの金融機関が独自のシステムを用いているところ、市場共通のシステム整備に要するコストと時間を考慮すると、短期的な実現は難しいと考えられ、厳格な技術要件を法定せずとも、86条証明書に通常記載される名宛人(社債権者)と86条証明書提示者の本人確認資料等の提出により、名宛人と提示者の同一性を確認するという実務対応で相当程度リスクは抑えられることから、必ずしも法令上の要件とする必要はないとしている。

 技術的要件を求めない場合に、発行体が振替機関または口座管理機関に対して、振替社債の権利者に関する情報の提供を求めることができるとすることについては、発行会社が振替機関や口座管理機関にその都度、権利者情報の提供を求めることができるとすると、実務上煩雑であり現実的ではないとして、反対の立場を取っている。また、86条証明書の機能を、①社債権者本人であることの証明と、②口座凍結による議決権者の確定の2つに分けることを提案している。②については、86条証明書の発行によって口座凍結を行った後、発行会社側が発する凍結解除通知書をもってのみ、口座凍結を解除可能とし、凍結解除通知書が発行されている場合には、すでに提示があった86条証明書の効力は失われる(凍結解除通知書発行前に発行された86条証明書を用いて権利行使をすることはできない)という内容が提案されている。

ウ     社債権者集会の決議があったものとみなす制度

 社債権者集会は、コベナンツ違反への対応等、迅速な意思決定が求められる局面での利用が想定されるため、株主総会以上に書面決議制度の必要性が高いとして、多数決型書面決議の導入に賛成している。制度設計については、A案とB案がともに裁判所認可という歯止めがあるため、多数決による不利益から少数者を保護する仕組みが維持されているとして、その両方を採用すべきとの立場を示している。多数決型書面決議に当たって86条証明書の提示を求めるかについては、A案は現行制度に近い手続的規律を前提とするため、その提示を必須としてよいが、B案は迅速な意思決定こそが制度趣旨であるため、特に手続的規律を設けず、実務に委ねる余地を認めるべきとしている。最後に、この制度をすでに発行されている社債にも適用できるようにすべきとしている。

 

⑶ 清田参考人および日置参考人提供資料の関連論点

 現行法上、金融商品取引法に基づく大量保有報告制度の適用対象となる場合を除き、株式会社や他の株主において、株主名簿に記載され、または記録されている株主(以下「名義株主」という。)の背後に存在する、株式の議決権の行使に係る指図権、処分権限等を有する者(以下「実質株主」という。)を確認することができる制度は存在しない。株式会社では、株主との間で建設的な対話を行うことが重要であるものの、株式の保管や管理を資産管理銀行、グローバルカストディアン等に委託している機関投資家は、名義株主でなく実質株主となることが多いため、特に機関投資家の投資対象となる上場会社において、実質株主を特定できないことが建設的な対話の支障となっているとの指摘がある。これを受け、中間試案においては、実質株主確認制度の導入が検討されている。

 一般社団法人全国銀行協会は、2025年3月、実質株主確認制度の整備に向け、フィージブルな実務運用や運用スキームの確立に資するよう、解決すべき課題や具体的対応等を検討することを目的として、「実質株主確認制度整備に向けた実務者検討会」(以下「実務者検討会」という。)を設置した。清田参考人および日置参考人の提供資料は、2025年6月から2026年3月にかけて4回開催された実務者検討会の議論および活動等の概要を中間的に整理するために作成された、中間報告書である。

 2025年度の実務者検討会では、実質株主確認制度の基本的枠組みに関する議論に当たって参考となる情報を提供するべく、実務者の立場からの意見等を取りまとめる等の活動が行われた。主な内容は表2のとおりである。

 

(表2)実務者検討会の主な内容

実務者検討会

内容

第1回
(2025年6月11日開催)

  • 実質株主の確認に当たり、各実務者の有する課題認識・検討の視点が共有された。具体例は以下のとおりである。

➤ 株主総会に向けた株主との対話を目的とした定期的なタイミングでの把握に加え、発行会社の希望する任意のタイミングで実質株主を速やかに把握したいとのニーズがある。

➤ 照会目的と照会事項を明確化し、過度な照会がないようにすることが望ましい。

➤ 制度の対象となる名義株主・実質株主の範囲を限定することを検討すべきである。

➤ 海外の実質株主への制度適用について検討する必要がある。

第2回
(2025年8月6日開催)

  • 法務省から、実質株主確認制度の創設については、制度趣旨という根本部分から関係者の意見が分かれており、未だ明確な方向性に収れんしていないことが共有された。
  • 実務者検討会では、まず会社法制部会での制度趣旨の検討を見守り、その結果を踏まえて実務フローやスキームの検討を進めることとした。

第3回
(2025年12月11日開催)

  • 仲介機関の定義について、海外のグローバルカストディアン等も漏れなく「仲介機関」に含める必要があるとの認識はおおむね共有されており、名義株主ではない常任代理人に法的義務を負わせないこと、背後主体を「仲介機関」か「指図権者」に誤認した場合に直ちに義務違反としないこと等、現場での識別困難性への配慮が求められるとの意見が出た。
  • 指図権者の定義について、アセットマネージャーのみならずアセットオーナーまでも開示対象に含めるべきであるかとの点で対立がある。
  • 実質株主に関する情報の範囲について、情報を広げすぎると手続遅延につながるため、まずは必要最小限の範囲を定めるべきであるとの意見に加え、直近の株主総会における議決権行使の内容等株主把握に関する情報も含めるべきとの意見が出た。
  • 回答期間について、実務フローが固まっていない現時点で具体的に定めることは困難とする立場と、限られた期間内で最終的な指図権者を把握するためには回答期間を具体的に明示する必要があるとの立場が対立している。
  • 確認の基準時について、株主名簿が確定する基準日を基準時とすべきとする立場と会社が指定した時点を基準時とすべきとする立場が対立している。確認の基準時の期間制限については、過去1年間程度とする認識がおおむね共有されている。

第4回
(2026年3月5日開催)

  • EU第2次株主権利指令に対応したサービスを提供するICJおよびProxymity Ltd.を招いたヒアリングが行われ、欧州での実務運用の知見を収集した。
  • 2025年度の検討状況をまとめた中間報告案が示され、成果の対外公表に向けた整理を進めた。

 

⑷ 塚田参考人および鳥海参考人提供資料の関連論点

 塚田参考人および鳥海参考人の提供資料は、EU第二次株主権利指令(Shareholder Rights Directive II)(以下「SRD2」という。)を踏まえて、実質株主確認制度に関する意見を整理している。第14回会議では、実質株主確認制度の導入を進めるに当たり、SRD2を踏まえてどのように規律を制定するかが、塚田参考人および鳥海参考人からの中心的な意見聴取事項となったものと予想される。

ア EU第二次株主権利指令

 中間試案では、実質株主確認制度の設計に当たって、諸外国の主要な株式市場とのバランスを意識する必要があるとの意識から、既存の諸外国の主要な制度であるEU第二次株主権利指令が参考とされている。

 塚田参考人および鳥海参考人による提供資料「欧州第2次株主権利指令(Shareholder Rights Directive II)(国際銀行協会)」は、SRD2をめぐる制度と見直しの動向を整理したものである。

 SRD2は、2020年9月に施行され、単なる株主確認制度にとどまらず、株主総会情報へのアクセスや議決権行使機会の確保等、株主とのコミュニケーション全体を対象としている。発行体が仲介機関に株主確認を求め、最終仲介機関まで情報をたどって回答を得るという流れで株主を確認することを内容としており、同様の仕組みが2023年11月以降、イギリス、オーストラリア、香港等で展開されている。

 一方で、欧州証券市場監督局と欧州銀行監督局による評価報告書で、「株主」定義の共通化、議決権行使助言業者の規律整備、仲介機関手数料の明確化等が提言されたこと等により、欧州委員会がSRD2の見直しを視野に、2026年2~5月、パブリック・コメントを実施した。株主定義、権利行使、機関投資家等によるエンゲージメント方針の開示、議決権行使助言業者の態勢整備、株主総会の開催形態等幅広い論点に、発行体、投資家、仲介機関等から80件の意見が寄せられ、欧州委員会は、2026年第4四半期をめどに新提案を予定しており、日本でもこの動向を踏まえた議論が望まれるとしている。

イ 実質株主確認制度

 塚田参考人および鳥海参考人による提供資料「『中間試案』に対する主なコメント(国際銀行協会)」では、実質株主確認制度に関するコメントを整理している。

 まず、株式会社から実質株主を確認する制度について、①仲介機関は、インベストメント・チェーンを遡って最終投資家の素性まで特定するのではなく、カストディ口座の保有者情報で回答する形を前提とすべきであること、②確認請求の乱発を防ぐ仕組みが必要であり、発行体が実質株主へ頻繁に問い合わせることで業務負担が過大にならないよう配慮すべきであること、③確認に伴う費用は仲介機関が適正に徴収できるようにし、回答期限は時差等実務上の事情を踏まえて設定すべきであること、④確認請求・回答の形式は欧州と同様、機械読み取りや自動処理が可能なものが望ましいことを提言している。確認制度に違反した者に対する制裁については、①議決権停止ではなく過料を基本とすべきであり、違反者が海外にいる場合は、その者本人に直接過料を課し、日本国内の仲介機関等に責任を転嫁すべきではないこと、②仲介機関による事務上のミスは過料の対象外とし、確認制度導入前には十分な猶予期間を設けて、関係者が新制度を理解できるようにすべきであるとしている。

 次に、株主側から株式会社に対する通知を義務付ける制度について、①現行の大量保有報告制度と整合的なものとし、通知義務違反の制裁について、故意または重過失による不提出や重大な誤記に限定すべきであること、②現行法上、金融機関には、重要提案行為等を行わない限り2週間ごとの報告で足りるとする特例報告制度が適用されているところ、そうした金融機関を直ちに通知を行わなかったことにより科される制裁の対象外とすべきであること、③現行法上、金融グループ内の保有をみなし共同保有として機械的に合算する仕組みがとられているところ、グループ内の1社による通知義務違反により合算される同グループ内の他者の保有分に係る議決権までもが停止されることは避けるべきであることを提言している。

 

3 次回以降の会議の見通し

 第14回会議における参考人からの意見聴取は、実務の観点からバーチャル社債権者集会の規律内容および実質株主確認制度について、実務に深く関わる当事者の意見を踏まえその制度設計について検証する意義を有するものと考えられる。第15回会議の日程は2026年6月24日に開催されることとなっており、同年5月22日まで行われた中間試案に関する意見募集の結果および第14回会議における意見聴取の内容も踏まえ、要綱案の取りまとめに向けて、各論点についてさらに審議が進められることが見込まれる。

以 上

 



[1] https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00338.html(2025年6月15日最終閲覧。以下、本稿で引用するウェブサイトについて同じ。)

[5] 本稿執筆時点において第14回会議の議事録は公表されていない。そのため、本稿では、議事概要および公表された参考人提供資料を前提として、参考人の属性と、各資料から想定される意見聴取の対象論点を概観する。実際にどの論点についてどのような議論がされたかについては、議事録公表後の詳解版に譲ることとする。

執筆者

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    坂本佳隆

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2009年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2012年~2013年東京大学法科大学院非常勤講師。2016年米国University of Southern California (LL.M.)終了。2016年~2017年米国ロサンゼルスのReed Smith法律事務所勤務。2017年~2019年に法務省民事局へ出向し、令和元年改正会社法の企画・立案を担当。2019年カリフォルニア州弁護士登録。主に、M&A及び会社法関連業務を扱っている。

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    山田智希

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2024年英国King's College London, University of London (LL.M.)。2025年英国弁護士(Solicitor, England and Wales)登録。2025年ライデン大学航空宇宙法研究所客員研究員(航空宇宙法)。コーポレートガバナンス・グローバルコンプライアンス、国内外のM&A・組織再編を専門に扱う。また、宇宙・航空・海洋分野を中心とする国際法・国際取引法関連、公共調達や行政紛争等の行政関連案件に積極的に取り組んでいるほか、交通・物流分野や教育分野をはじめ、インダストリーに特化した法務面のアドバイスにも従事している。

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    大塚ゆきの

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士。2022年早稲田大学法学部卒業。2024年東京大学法科大学院修了。2025年弁護士登録(第一東京弁護士会)。人事・労務、コーポレートに関する業務を広く取り扱う。

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    アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。

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